スモールシャッド工学
皆さん、こんにちは。今年最初のコラムです。今年もどうぞよろしくお願いします。
今回のコラムですが、最初はちょっと硬いかもしれませんが、最後まで読んでいただくときっといいことが・・・あるはずです。
サスペンドについて
以前から、サスペンドの仕組みについて科学的に整理してみようと思っていたので、今回はそのネタからご紹介したいと思います。
大昔、物理でも習ったように
ルアーの重量(g) = 水の密度(g/cm2) × ルアーの体積(cm2)
この式が成り立つと水の中でサスペンドします。
水の密度は水温によって変わりますので、買ってきたルアーのサスペンドモデルは水温によってはスローフローティングしたり、スローシンキングしたりするのです。
これが温度によってどれくらい変わるかというのをダンク(SP)で計算してみました。
ダンク(SP)の重量は5.0gなので、これを水温8℃でジャストサスペンドに設定したとして、ルアーの体積を逆算しています。
それを前提に以下の表を見てください。
皆さんはどのような感想をお持ちになりましたか?僕は「ショエー」と思いました。(古)
といういのは、「このくらいしか差がないの?」という意味です。
この水の密度は純粋な水の値なので、実際のフィールドでは不純物や浮遊物がいっぱい混ざっているので、クリアウォータとマッディーウォータでの差の方が大きいかもしれません。
マッディーウォータの方が水の密度は重いので、ルアーが浮きやすい傾向にあると思います。
経験的にもジャストサスペンドにしようとしても、10秒くらい待っていると超スローに浮いたり、沈んだりするので、本当にサスペンドさせるのはものすごく難しいです。
これを板錘で調整しようと思っても、私が使っている板錘はワンセット14枚綴りで5gなので、 1枚あたりは0.357g。(ダンク(F)の重量が4.7gなので、大体これをSP仕様にする重量です。)
1枚あたりは6mm×26mmなので、1mm四方に切ったとしても0.0025g。これでやっと8℃と30℃の差分になります。
実戦では
シャッドをサスペンドさせるにはかなり微妙だということを分かっていただけたと思います。
では実践ではどうすればよいかということですが、
フックやスプリットリング、スプリットリングをスナップに変えるとき、ラインをフロロ・ナイロンなど選ぶときなどは細心の注意を払わないといけないなということです。
本当にその程度で変わってくると思います。
シャッドが本当にうまい人はこの辺をよく考えていて、このルアーにはこのスナップじゃないとダメ、このラインじゃないとダメだとかこだわりがあるのだと思います。
よく手元でサスペンドを確認してということをしますが、実際に遠くに投げたとき、もっともぐったときを考えると変わる可能性があります。
遠くに投げるとフロロカーボンだと沈みがってになり、ナイロンだと浮きがってになるし、深度が深くなると水の密度が大きくなりますから浮きがってくるようになります。
この辺を計算しながらやっていくわけですが、どちらかというとスローシンキングするよりはスローフローティングする動きの方が釣れると思います。
もし魚の気配を感じるけど釣れない時とかあれば、ラインをフロロからナイロンに変えるとか、スプリットリングをはずしてフリーノットに変えるとかをやってみると意外に答えが返ってくるかもしれませんよ。
また、止めるときが特に重要視される寒い時期は、スモールシャッドの方に分があると思います。
これはシルエットが小さいから食べやすいというだけでなく、ルアーの体積が小さいので浮き沈みの調整がシビアにやりやすいという理由もあると思います。
実はこれがスモールシャッドの一番のキモなのかもしれません。
(写真:2006年2月26日ブリッツMR マットタイガー で釣った45cm。)
最後に
全国的にどこのフィールドも水温が1年間でももっとも低い時期になっていると思います。
これからの季節、三寒四温を繰り返しながらだんだん水温が上がってきますが、この時期まれにものすごく暖かく感じる雨が降ることがあると思います。(このときは豪雨であることが多いのですが。)
これを狙って釣ったのが、上の写真です。そのとき豪雨というくらい暖かい雨が降って、その午後にダムの最上流に直行してブリッツMRで釣った1本です。
今まではシャッドやワームでしか釣れなかったバスも春が近づくとともにクランクベイトにものすごく反応し始めます。
シャッドを極めながらもこの春の変わり目もクランクベイトで感じられるように頑張りましょう。
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