• トップページ
  • STAFF
  • PEベイトタックルを用いたスナッグレスネコリグの深堀り ~水郷エリアでのHP3D-Wackyのススメ~by齋藤寛之

PEベイトタックルを用いたスナッグレスネコリグの深堀り ~水郷エリアでのHP3D-Wackyのススメ~by齋藤寛之




第1章:ベイトでのスナッグレスネコリグの有効性

利根川や霞ヶ浦において近年のフィールド状況は、気温・水温ともに高い日が続き、バスはオープンウォーターに出る機会が減り、深みのある沈み枝や倒木、流木といった硬質で入り組んだ障害物(以下ウッドカバー)の奥に留まる傾向が強まっている。特に、真夏の炎天下では、カバー奥底でしかバイトが得られないことも多く、カバー攻略の精度と効率がその日の釣果を大きく左右する。

こうした状況下において、スナッグレスネコリグは非常に高い効果を発揮するリグの一つだ。ウッドカバーを狙う場合アプローチから回収までのスナッグレス性能が重要視されるが、スナッグレスネコはそれらを高い次元で両立している。

ネコリグは、ワームの頭側にシンカーをセットし、フックはワームの中央にセットする構造を持っている。この構造により、ワーム全体がウッドカバーに対して垂直姿勢となり、スルスルと奥へと滑り込んでいく。
回収時はシンカーが最後に抜ける仕組みのため、複雑なウッドカバーの中でもスタックしづらい設計となる。

このようなリグの構造的な優位性に加えて、私がスナッグレスネコリグにベイトタックルを選ぶ理由についても触れておきたい。実際に水郷フィールドで撃ち込みを繰り返す中で、さまざまな状況に対応できるのはやはりベイトタックルだと感じている。

まず、手返しの良さは大きなアドバンテージだ。ピッチングを繰り返してカバーをテンポよく撃っていく場面では、スピニングよりも明らかに効率が良い。加えて、木の枝や葦が覆いかぶさっている複雑な状況でも、狭いスポットへ鋭く打ち込めるキャスト精度が、ベイトならではの操作感で確保できる。

またダム湖のような断崖絶壁の急深ではなく、水深がせいぜい1〜2メートルほどの比較的シャローなエリアが多い。そのため、完全なフリーフォールを長く取る必要がなく、ベイトタックルでも十分に対応できるシチュエーションがほとんどだ。

バスがバイトしてからカバーから引きはがすまでの一瞬も重要だが、ここでもベイトタックルは活躍する。主導権を握れるレスポンスの良さは、取りこぼしを減らす上で大きな武器になる。


第2章:PEライン直結でシステムを組む理由

私がこのスナッグレスネコリグにおいて強く推奨したいのが、PEラインの直結セッティングだ。
カバーを相手にした釣りでは、リグを通す場所もフッキングの方向も制限される。その中でも特に、枝越しでのフッキングやファイトが前提になる場面では、ラインに不要な“伸び”があると、そのわずかなタイムラグやパワーロスが致命的になりかねない。そのためリーダーシステムを組むことは不要と考える。

もちろん、PE直結には注意点もある。
「ラインの存在感」は、カバーの釣りなのでカモフラージュできるであろう。
「擦れに対する弱さ」は、それを丁寧なチェックとこまめな交換でカバーできるなら、そのリターンは非常に大きい。

このセッティングは、シンプルでありながら、カバー攻略の安定感を一段階引き上げてくれると、私は確信している。


第3章:なぜHP3D-Wackyが優れているのか?

私がスナッグレスネコリグで愛用しているのはHP3D-Wackyである。このワームは、単なるストレートワームとは一線を画す性能を持っており、リグとの相性が非常に高い。
最大の特徴は、ウッドカバー回収時においてのトラブルを抑える「柔軟性」である。

スナッグレスネコリグをウッドカバーの奥から回収する際、ボディに張りがあるワームを使うと、カバーにコンタクトした際にその反発力が逆に作用し、フックがむき出しになってしまうトラブルが多発する。

しかし、HP3D-Wackyはフックのすぐ後ろに位置するスプリットテール部が「腰の抜けたポイント」として機能する。これにより、カバーに接触してもワーム自体が逃げるように折れ曲がり、スタックを防いでくれる。

この「いなし」があるからこそ、テンポよくウッドカバーを撃ち続けることが可能になる。
ただの直線的なストレートワームでは生まれない、柔軟かつ自然な抜け感が、HP3D-Wackyには備わっている。


第4章:基本的なアクションのさせ方

HP3D-Wackyを使用したスナッグレスネコリグのアクションにおいて、基本となるのは断続的なシェイキングである。
これは、キャスト直後から枝にもたれかけさせて、小刻みにロッドを揺らし続けると、ヘッドとテールの位置関係がランダムに入れ替わり、バイトするまで正体を明かさないような、執拗な誘い方ができる。ボディ全体が波打つように震えると同時に、テール部分が独立してピリピリと揺れる。この波動と視覚的変化が、タフコンディション下でも確実にバスを引き寄せる。

さらに、シェイキングをただ一点レンジで留めるだけでなく、徐々に下げながら行うことで、より立体的なサーチが可能になる。
シェイクさせながら徐々に沈めていくと、ワーム自らすり抜け落ちていくようなルートを勝手に探してくれる。HP3D-Wackyはこの立体的な探索に対して極めて高いパフォーマンスを発揮する。


アクションを与える際のコツは、強く動かしすぎないこと。あくまで微振動している程度のニュアンスで、ロッドティップを弾くイメージを意識しながら操作する。傍から見れば、ミドストをやっている様に映るかもしれない。
ラインテンションは軽く張る程度で十分で、ロッド全体のしなりを使って震わせるようにすると、ウッドカバーにスタックしにくく、ナチュラルな誘いが可能になる。

このようなアクションを成立させるには、使用するタックルとのバランスも非常に重要だ。次章では、この釣りに最適なタックルセッティングについて詳しく紹介する。


第5章:タックルセッティング

HP3D-Wackyを最大限に活かすためには、タックルの選定が非常に重要である。とくに断続的なシェイキングを正確に、かつ快適に行うためには、各パーツの役割とバランスを正しく理解する必要がある。今回は、水郷エリアでの魚のサイズ、アピールを考慮しても通年使えるHP3D-Wacky5インチのセッティングを紹介する。

フック「絶対的信頼の O.S.Pスクラム#1/0」

スナッグレスネコリグ対応フックの中でも太軸設計で信頼性が高く、強引なファイトにも耐える設計となっている。カバーの奥で掛けたバスを一気に引きずり出す場面でも安心して使用できる一本だ。Vガードはワームのズレを抑制してくれる。

シンカー「タングステン2.0gネイルシンカー」

ボディ直径との関係で、この程度のウェイトが適している。ウッドカバーを狙うなら、柔らかいカバーを突き破る必要がないので、さほど重くする必要もないと考える。

ライン「行き着いた先はPE2号」

ラインはPE2号の直結をオススメする。どうしても枝越しのフッキングになるために、ラインの伸びは極力排除するに越したことはない。一般的にはリーダーを結ぶセッティングも多いが、あえて直結にすることで、トータルでの安心感は格段に上がる。
リーダーを組んだ違和感の排除と天秤にかけても、PE直結のメリットは大きい。
PEの種類については、高密度の8本撚りで少し硬めのコーティングがされているタイプを使っている。モノフィラメントに近い感覚で使えるのでお勧めする。

ロッド「対カバーといえども硬いロッドはダメ」

フックセットのためのバットパワーがありながら、ベリーからティップがしなやかに振れるモデルが理想である。ベイトフィネスロッドでも柔らかい部類をチョイスしてほしい。
軽い力でもロッドを震わせることができ、結果としてHP3D-Wackyがその場で滑らかにアクションする。
ML以上のロッドでは操作性の悪さと、バイト時のもたれかかりが判断できなくなるので、オススメしない。

リール「低弾道でキャストしたいケースもある」

リールはベイトフィネス系リールを選択。軽量なリグを正確にピッチングで送り込むシーンが多いため、スプールのレスポンスが高いモデルが非常に有効である。
ただし、根掛かりした際にスプールを親指で押さえて強引に引き抜くのはスプール破損につながるので、控えてもらいたい。



ROD:DAIWA 19BLX SG 661UL+FB
REEL:DAIWA 20ALPHAS AIR TW 8.6L
LINE:ZALT'S XENOS X8 CASTING #2


第6章:バイトからフッキングまで

この釣りにおいて、バイトの初期反応をどう捉え、どうフッキングに持ち込むかは、釣果を左右する最も繊細で重要な瞬間である。

多くのバイトは、実は明確な「コンッ」といったアタリではなく、「断続的なシェイクが突然できなくなる」という違和感から始まる。これは、ワームのどこかをバスが咥え動きが抑制された状態になっていることを意味しており、いわば怪しいバイトだ。

とくにタフコンディション下では、バスも慎重になっており、疑いながら軽く口でついばむようなバイトがほとんど。この段階で即座にフッキングをしてしまうと、フックポイントが口の外や皮一枚に掛かってしまい、バラシの原因になる。

ここで重要なのは、アクションが止まっても焦らず、シェイクを継続すること。
ワームを「躍らせながら口の中に吸い込ませる」イメージでシェイクを続けることで、魚が自然にワーム全体を咥え込み、深いバイトに繋がる。

そして、バスがワームをしっかり咥えた状態になると、魚がわずかに移動を開始することで、ロッドのティップに「もたれかかる」ような重みが現れる。
このタイミングこそが、フックセットのチャンスだ。

フッキングは、ティップセクションを曲げたまま、残ったバット部分をしっかり使い、ストロークの長い大きな動作で行うこと。この一撃でフックを確実に貫通させることで、深くフックアップさせたい。

もし掛けたバスが、スタックするようにカバーの中に入られてしまったとしても、決して慌てないことが大切だ。無理に引き抜こうとしてラインをこすったり、貫通したフックが枝に刺さってしまったりすると、せっかくのチャンスを台無しにしてしまう。

特にボートからの釣りであれば、こちらから静かにカバーに近づき、バスの真上に回り込んでから上方向に抜き上げることで、高確率でキャッチにつなげることができる。
こうした対応が可能になるのも、あらかじめしっかりとフックセットが決まっていればこそ。最初のフッキングの質が、その後の展開すべてを左右することを忘れてはならない。


最終章:HP3D-Wackyの実戦力

ここまで述べてきた通り、HP3D-Wackyを用いたPEスナッグレスネコリグの釣りは、ウッドカバー攻略における一つの完成形とも言えるアプローチだ。
特に、ワームの柔軟性を活かした断続的シェイクによる誘いは、現代のタフコンディションにも適応した実戦的な戦術となっている。

この釣り方が最も活きるのは、新緑が濃くなり、ウッドカバーの存在感が増してくる時期から、枝が枯れ始める晩秋まで、HP3D-Wackyは常に一軍リグとして投入できる信頼感がある。

みなさんもぜひ一度、HP3D-WackyのPEスナッグレスレスネコリグという選択肢を試してみてほしい。きっとこれまで入りきれなかったカバーの奥から、新たなバイトが返ってくるはずだ。

関連商品